前回、都道府県によって公立高校受験制度が違うことを知った上で、「取りあえず、居住する都道府県の入試制度を知ることが必要」と書いた。また、他府県に居住していたとしても、受験することが可能な場合もあるので、子どもの進路に迷いがあるなら、他の県についても調べてみる価値はある。

 学習指導要領が定められているので、指導内容が大きく異なることはないが、受験制度が違うということは、受験に関わって、つけないといけない力の細部は異なってくる。それは受験直前ではなく、小学校から、場合によっては就学前からつけていくことを意識した方がよい場合もあると思う。

《都道府県による違い》②


「行事や学習活動の違い」

 『職場体験学習』

 :職場体験とは、生徒が事業所などの職場で働くことを通じて、職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動(文部科学省)

 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』では、実践例として、兵庫県の「トライやる・ウィーク(1998年~)」などが示されているが、今では、ほとんどの都道府県の中学2年生が取り組んでいる。ただ、兵庫県が取り組む前に、人権学習の一環として、職場体験学習に取り組んでいた自治体もある。

 職場を探すお願いを中学生が自分で電話するなどして見つけていく自治体もあれば、学校と地域が協力して受け入れ可能な職場を見つけていき、それをリスト化したものの中から中学生が選ぶという自治体など様々である。その違いは学習のねらいの違いにもつながる。

 私の子どもたちの場合は、リストがあってそこから選んだのだが、どの子も興味がある職場はほとんどなかった。興味がある職場でなくても、体験してよかったと長男は言っていたが、三男はほとんど何もさせてもらえず、ただ体験をしただけだったように思えた。自分で探す方がいいとは言い切れないが、少なくともどんな取り組み方をしているのかを知って、自分の子どものためになるように、子どもをフォローする必要があると感じた。


 自然体験活動』

 :登山やキャンプ、ハイキング等といった野外活動、星空観察や動植物観察といった自然・環境に係る学習活動

 自然体験活動の内容そのものはどの自治体でもあまり変わらないと思うが、私の長男のときに感じたことを綴りたい。


 ○「宿泊体験中に担任が帰る」

 長男が小学校5年生(15年前)のときに、5泊6日(後に4泊5日になった)の自然体験学習に行った。私の勤務校では、2泊3日だったので、5泊もするんだと思いながら、しおりを確認すると、やっている内容は、私が5年生の担任をしたときに引率した2泊3日の自然学舎と、さほど変わらなかった。まあ、一つひとつの活動に時間をかけ、ゆっくりするんだなあと思うぐらいであったが、後に、5年生の担任を含め、引率の教員が途中で交替して帰ることを知って驚いた。

 ・宿泊地に担任がいないことによる心配

 小学校では、高学年であっても、ほとんどの授業を担任が教えるので、同じ学校の教員であっても、子どものことをあまり知らないことが多い。夜中に起こすことや薬の服用など、引き継げば問題ないのかもしれないが、日ごろの子どもの様子が分かっている担任がいないと、宿泊行事に伴う子どもの心理的な不安や体調の変化に気づきにくい。

 ・指導員にお任せ状態

 宿泊地の活動に関しては、アルバイトの大学生(教員志望?)の指導員にほぼお任せ状態であったことも後日、知った。引率教員は何か(体調の変化や何らかのトラブルなど)あったときには対応するのだろうが、何もなければほぼ見ているだけのようだった。記録のビデオを撮ったり、進行の補助をしたりする教員もいたようだが…。

 宿泊行事は、担任が引率するのが当たり前だと思っていたので、半分の期間であっても、担任が不在の状態があることは、私には考えられなかった。幸いにも、私の子どもたちは、特別な支援が必要というわけではなかったので、大きな心配ではなかったが、必ず服用しなければいけない薬があったり、集団生活に不安があり、初めての宿泊行事で、特に配慮が必要な子どもであったりしたら、担任が不在のときには、参加を見合わせることを考えたかもしれない。

 自分の経験から多分こんなもんだろうと思い込まずに、子どものために、行事や学習内容とその取り組み方を知ろうとすることが大事だと改めて思う。





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