《不安と期待の4月》
小学校の特別支援教育コーディネーターになってから、4月・5月は憂鬱だった。もちろん、3月末から、どんな出会いがあるかな、もうすぐ、また新しいスタートだという、うきうきする気もちは、ベテランになってからもあった。しかし、どうなるのだろうかという不安の方が強かった。子ども家庭センター(児童相談所)の心理士さんや相談機関のカウンセラーさんが口々に、「子どもたちの気もちが不安定になるので、担任がもちあがり、クラス替えがなかったらいいにのに」と言うのをよく耳にした。
4月当初は慌ただしい日々を過ごし、新しい友だちや、新しい先生など新しい環境で、毎日緊張の連続。ようやく少し慣れ、生活リズムが整ってきたかなと思うと、ゴールデンウィークで、子どもも大人も元に戻ってしまう。一度、リズムが整えられていたら、再び整える時間は短くて済むのだが…。
それで、ここ10数年、夏休みには、次の年をイメージして準備を始めるようにしている。それでも、4月は不安半分、期待半分ではある。
4月から新しいスタートとなる方が多いと思うので、学校生活に関わって、どんな準備をしておけば、少しは不安や心配が減るのではないかと思うことを綴ってみる。
《4月から新入学、新学年になる皆さんと保護者の方へ》
・親子で通学路を歩いて、危険な場所がどこにあるか把握しておく。
・起床時間は普段の学校に行くときと同じ時間にしておく。
・この1年間に学んだことを振り返って、テストでできなかったところ、苦手意識があるところをやり直しておく。
これらに加えて新入生、転入生に関しては、学校のホームページを見たり、学校の近くに住む知り合いやご近所さんに尋ねたりして、少しでも学校の様子を知っておく。
また小学校の新入生に関しては、保育所や幼稚園、こども園で、小学校の授業45分間に備えて座っていられるように練習したり、20分程度で給食を食べられるようにしていったりしていると思うが、家でも、少し意識してやってみるのもいいだろう。
学習に関しては、1~100程度の数字が読め、順番が分かり、自分の名前の読み書きができていればよいので、それほど心配する必要はない。(それができていなければ、そのことを担任に伝えれば、配慮してもらえるはず。)
《初めて4月から教員になる方へ》
〈学級担任になったり、一人で授業をしたりする覚悟をもつ〉
4月8日前後に入学式、始業式という学校が多いと思うが、入学式、始業式まで、勤務日は長くて5日程しかない。しかも、自分が何年の担任になるか、どの学年の授業をもつかが勤務初日に決まらないこともある。それが決まらないと受け持ったり、授業したりする子どもの実態を把握しようとしてもままならない。学校はそういう厳しい職場であるという自覚が必要である。いかに見通しをもって効率的に業務をこなさないといけないかを分かっておく。
〈当面のスケジュールを確認する〉
・週間予定を見て、1日ごとに自分が何をしないといけないかを確認する。
・月間予定、年間予定を見て、これからの見通しを少しでももつ。
とは言っても何をどうすればよいのかはほとんど分からないと思うので、こんなことを聞いてもいいのかとためらわずに尋ねてみる。
〈何を、誰に尋ねるかを考えながら、遠慮なく尋ねる〉
【何を尋ねるか】
[学校を知り、子どもを知るために、それぞれがある場所を尋ね、見ておく]
・学級ごとの引き継ぎ資料
・昨年度の学年だより、学校だより
・職員会議録
⇒年間行事や4月の提案資料等を確認し、疑問点を書き出しておく。
【誰に尋ねるか】
[内容によって、誰に尋ねればいいかを考えるのはもちろんだが、同じようなことを複数の教職員に尋ねた方がよいこともあることを心にとめておく]
・新任担当の指導教員がいる場合は、まず指導教員に尋ねる
勤務校以外で退職した校長等が指導教員の場合、一般的なことは答えてもらえるが、その学校のことはあまり詳しくないかもしれないので、誰に尋ねたらよいのかのアドバイスをもらうとよいこともある。
・学年主任(学年代表)はもちろん、同じ学年の先生
・手続き的なことは事務職員
・勤務校での経験年数が長い教員(どの教員の勤務年数が長いかは、事務職員か教頭が把握している)
・(特別)支援学級所属の子どもやその保護者については、(特別)支援学級担任か、特別支援教育コーディネーター
・自分が受け持つ子どもの前担任
〈不安に思ったり、困ったりしたとき〉
【信頼できる相談相手を探す】
・同じ新任や若手教員
・養護教諭(保健室の先生)や事務など教員以外の職員
・後輩思いの先輩教員
いろいろ尋ねる中で、信頼できる相談相手を探せば、必ず見つかるので、一人で悩まず、早目早目に、複数の方に相談しよう もちろん、最終的には、管理職(校長・教頭)への報告、相談は忘れずに
また、この記事のコメント欄に相談内容を書いていただければ、微力ながら、私もお答えします。(以前はいろいろ尋ねられることが多かったのですが、最近は相談してくる若手教員が少ないです。また、「もっと早く相談してくれれば、こんなことにはならなかったのに」と思うことも多々あります。)
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